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直ちゃんお預かり

結ちゃんと直ちゃんが
「こっちの方が大きいよ」
「・・・」
・・・
「あっちは下がっているんだよ」
「そうだ、たれてるんだ」
「そうだよ」
何と仲良い事。
二人で顔見合わせながら、直ちゃんはやたらニヤけていた。二人の顔・目の方向は、私の目の前での事。半年前頃に二人をお風呂に入れた・・・違う、入れるハメになった時だ。ニヤけた直ちゃんを歩ける様になった頃から、私は敬遠していた。やたら嬉しそうに期待が顔からこぼれていた様に見えていたのだ。

「お風呂はオサムちゃんと入って。」とか「ママと入って。」とか言いながら。ところが直ちゃんと二人だけの時、先に入った直ちゃんは、お風呂の入口から三歩分空けて入口に向かって真っすぐ立って迎えていた。
「・・・やっぱり・・・」
嬉しそうにしていた。何気なくしていたが、私は居心地が悪かった。お風呂から出て、バスタオルに直ちゃんをくるんだ時、
「ばぁばのは大きいよ!」
と・・・言った。・・・かしこいぞ!直也・・・?
この事は何年か経った今でも忘れられません!

娘との電話での時
「直ちゃんの理想のタイプは『ホクロがない、やせてて、おっぱい大きい子、できればかわいい子』」
そこで娘は
「私とまるで正反対なんだから・・・」
とボヤいた。これからランドセルの一年生になる子が何を考えているのだ!という感じで、手に負えません。どこか頭デッカチで、やっている事は幼い。中途半端と簡単に言ってはいけない!と、戒める!

七月の末頃、この直ちゃんを預かった。保育園に12時半に迎えに行った。直ちゃんは玄関に出て待っていた。女の子が
「直ちゃん、バイバイ」
男の子も
「直ちゃん、バイバイ」
と声をかけてきた。
『イイネ、直ちゃん』と心の中で思った。

朝、直ちゃんの背中に湿疹が出ていた。『水ぼうそう?』と思った娘が医院に連れて行った。結果は大丈夫だったが、保育園に行きたくない直ちゃんが頑張る。
「お昼を食べたら、ばぁばに迎えに来てもらおうね」
という事で直ちゃんは保育園に送り込まれていた。 迎えに行くと外廊下で待っていた直ちゃんは、すぐズックを取り出し、私のところに出て来た。先生にもニコニコと送ってもらって、車の方へ歩く。部屋の窓から女の子、男の子が顔を出し
「バイバイ」
と言っている。そこに顔が並んでいた。
「直ちゃん、みんなが送ってくれてるよ!」
「ウン」
そっけない返事。

車が出発すると
「ねぇ、〇〇〇へ行って!」
「それ・・・どこ?」
「アーアーじゃ、セブンイレブン」
「何買うの?」
「カード」
「三枚だけね!」
私は強く言った。

着くとすぐ飛び出す。
「待って、待って」
声は出ても、身体がついていかない。直ちゃんがカードを三枚持ってきていた。支払いをして車に乗る。
「もう開いちゃったの?」
って言っているうちに、また
「セブンイレブンに行って!」
「やーだーよ。」
って言っているうちに、またセブンイレブンが・・・通り過ぎた。
「アーアー」
と直ちゃん!私も
「アーアー」
先が思いやられる。

店に着くと、パソコンの前のイスに坐り、自分でパソコンを動かし、ゲームをする。どんどん成長してゆく。私のスマホもすぐゲームを出していた。こっちはまるで出来ないのに!
「なんで『らくらくホーン』なんていうんだ。まるで理解できない。メールはすぐどこかに消えるし、違う字になるし。」
手に入れてから何ヶ月か経つのにまだなじめないでいる。

ずっと坐っているのじゃかわいそうだから配達に連れ出す。
「ベルトをしてよ。」
始めはイイ子に坐って
「どこに行くの?」
とか言っている。配達の帰りは、うるさいうるさい。
「ベルトをしなさい!」
何で車の中を歩き回るんだろう。頭がつかえていない!自由に歩き回っていられるんだ。ドアはチャイルドロックにしてあるから大丈夫!やっと店に帰って来た。ドアを開けてやると、車から出て来ながら、ドアの下をかまっていた。チャイルドロックをはずしたのかな?そして、ママが迎えに来て
「やれやれ!」
夜帰るので車の横に近づいたら折りたたみのカサが窓のところに下がって見えた。座席に空のカプセルが散らかっていた。
「直!?」
娘に電話した。
「直ちゃんがカサを忘れたって言ってた。」
忘れたんじゃなくて置いていったんだと思うけど。

(イラスト : 菊池裕子)