修先生のよもやま噺

笑いと痛み

ある人(あまり笑わないという人)が「20年あるいは30年リウマチ、神経痛の痛みがあるから来られないどうしたらいいか」という話しをしていました。もちろん「病院にかかっていますか」あるいは「医者にかかっていますか」という質問はするのですが「もちろんそれはやっている。いろんなやり方をしているけどなかなか痛みが取れない。ずっと苦しんでいる」ということがありましたが、それがどうも笑わない人達の共通項のようです。
つまり“痛みが取れない人は笑わない。笑っていない人は痛いのでは”とお話しをしますと、その人達の答えは必ず同じです。「痛いから笑えないのです」一理あるように思えますが私は笑いながらこういっています。「笑わないと痛いみたいですョ」向こうはこう反論します。「痛いから笑えないんです」私が言います。「笑わないと痛いみたいですョ」「痛いから笑えないんです」「笑わないと痛いみたいですョ」「痛いから笑えないんです」こういうやりとりが何回か続きます。笑わない人はなぜか痛いようなのです。
笑う事により脳の中にある脳内物質βエンドルフィンが大量に出るようです。その物質は
①免疫機能強化
②血液をサラサラにする(漢字では血の滞りといいます)
③脳の中の痛み中枢に直接作用し痛み中枢をマヒさせる
という三つの作用を持っているのです。
脳内モルヒネとも言われています。それは笑顔になること。笑うこと。
笑わない人は脳内モルヒネが作られにくいようです。ゆえにずっと痛いのです。痛いから笑わない、笑えないのではなく笑わらないからどうも痛いらしい。それを聞いて笑う事、ありがとうをいっぱい言う事を実践した病氣を抱えているおじいちゃんやおばあちゃんが、亡くなっていくときにほとんど痛がらずに亡くなっていったということです。お医者様が「この状態だったら痛いはずなんだけどナ」と不思議に思うというお話しがたくさんあります。

動物園で猿を見ていると「猿の見学心得」という看板を見ました。

一、にらんではいけません
一、にげてはいけません
一、さわってはいけません
一、こわがってはいけません
一、さわいではいけません

猿に怪我をさせられる人が多くて立てられた看板ですが、私はこれを見て人生に起こる様々な出来事への対処法を教えてもらったようでした。
「にらんではいけません」というのはどんなにその人とは氣持ちが合わずに心を取り乱してもにらみ返してはいけないということです。
「にげてはいけません」とは自分にとって都合の悪いことや失敗したことから逃げても一生つきまとうのですから、きちんと向き合う必要があるということです。
「さわってはいけません」は腹が立っても暴力を振るってはならないということ。
「こわがってはいけません」「さわいではいけません」というのはどちらもいかなる現実も素直に受け止めて生きていきなさいというふうに置きかえることができるでしょう。

良寛さんも「災難に逢う次節には災難に逢うがよく候。死ぬ時節には死ぬがよく候」とおっしゃっております。