「土曜日に父兄参観があるので、その代休が月曜日になる。結ちゃんだけがお休みなので、月曜日は結ちゃんを見て欲しい。」とママがいってきた。
保育園の為、直ちゃんには内緒!直ちゃんは耳も目もアンテナを張っている。いわゆる地獄耳。結ちゃんが平日休むことを知ったら、
「結ちゃんが休みなら、オレも休む!」と言って当然の様に胸を張り、頑として譲らない。
私が電話を掛けて
「結ちゃんは、七時に来るの?」などと話し始めると、ママは用心して
「・・・今、直がいるから・・・」
「・・・わかった、又後でね。」
下の子は、のほほんとした所がなく、常に上の子と競っている様に見える。
さて、月曜日当日は直ちゃんを誤魔化すために、結ちゃんがいつもの様にランドセルを背負って、七時過ぎに家を出て、みんなの集合場所へ出かける。
そこに館林から迎えに行く夫が待っているという段取りが出来た。そして八時頃、空っぽのランドセルを背負った結ちゃんが店に駆け込んできた。
小四ともなると友達付き合いも多く、又、習い事も増えて、ゆっくり話す時間もなくなってきた。お店に遊びに来たのは本当に久し振りでした。お店の博子ちゃんも久し振りに会う結ちゃんを喜んで待っていた。
結ちゃんはお店の売り出しのお手伝いをしてくれた。シクラメンをビニール袋に丁寧に入れて、綺麗に並べるのを私達大人は感心して見とれていた。
博子ちゃんと結ちゃんの会話は
「結ちゃんはテレビドラマの陸王を見てるの?誰か好きな人がいるの?」
「うん!山崎賢人!」
博子ちゃんは私に山崎賢人の事を説明してくれるけれど、まるで頭に浮かんで来ない!
「そういえば、外人の女の子の区別がつかない様に、日本人の若い俳優も同じ髪型、同じ体型、同じ目、同じ顔をしていて、誰が誰だかわからなくなってる!」
私も前日に見たテレビドラマだったけど、若い俳優の事はサッパリ印象にはないのだ!年を取るとはこんなものなんだ!何にでも興味を持ち、関心を持ち続けることが重要だ。興味や関心を持てないのは疲れているからだ・・・なんて思うのはダメですね。
私と結ちゃんは何かをやる時に息がピッタリ。昔の感覚を思い出す。二人でパンジーを植えた。
結ちゃんは「これは肥料だから!」と言って枯れ葉を入れながら、一つ一つパンジーを植えていった。翌日はうまく雨が降った。パンジーはしっかり根を張ったと思う。
心満たされた穏やかな日だった。
(イラスト : 菊池裕子)