裕子先生の家族日記

孫のお泊り

今年の二月末に孫がお泊まりに来た。二人一緒。結ちゃんは小学校二年生。直也くんは四才です。仲良しの時は息が合い、何でも調子よく運び見ていて安心。感心もしていられる。
それが突然、嵐の様に荒れ狂う程に激しく強い言葉をぶつけ合う。どちらかの手が出たら、私にはもう手に負えない。
車の後部席に二人で坐り込む。「仲いいな~」なんて思うつかの間に事態は反転!する。運転席から「ベルトしてる!」ドアが開かない様にロックし、窓もロック。バックミラーを見て二人に怒るけれど、声も届かない位に二人は燃えている。私の軽の車では全体がパニックです。
到着すると「待って!」と言うのに、二人は車から出て入口に向かって走る。もう二人の走る方向は一緒。ママが後から空の車で到着。ママが大好きな二人。でも店から板倉の家までは私の車に乗り込むから可愛い。
家の中に入って、程なく娘が「洗面所の青い入れ物は何?」って私に聞いた。
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「それはパパの入れ歯を入れて洗浄する入れ物!」と答えると、娘は「エー!見て来よう!」と言いながら廊下に出て夫の部屋へ入った。その時ドタドタドタドタと一緒に入って行く音がした。
別の部屋でテレビをつけ、色々なものを引き出し集めて、好き勝手に遊んでいた二人が、耳をママの方に向けていたのか、廊下に出たママの姿を見たのかな?二人ひとかたまりの動きを見た。
その後しばらくしてニタニタした夫が「入れ歯なんか見せられてしまった」と言っていた。まんざらでもない顔で!
二人でお泊りなので、ママが帰る時、子供はつれなく「バイバイ」をした。興味そこにあらず。娘の淋しさが私はわかる。「さあ、お風呂に入るよ!」動きの悪い二人があっという間にお風呂に入った。慌てて私も入ったが二人は湯船の中に立って洗面器に湯を入れ、手で一生懸命泡立てて、ニコニコ。とても満足顔をしていた。
「エッ!」
「お風呂の中に入れないで!」
「ちょっと待って!」
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お風呂遊び用の入れ物
を二つ持って二人の泡の立っているお湯を移し替えた。結ちゃんが赤ちゃんの頃から使っていた赤い大きなアンパンマンシャンプーが底の方にシャラシャラと!ほんの少しになった音がした。
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「何をするつもりだったの?」
 「お風呂掃除!」
なんで今頃お風呂掃除かな~?
呑気な子供達。
湯船から二人を出し、立っている二人を雑巾がけの様に洗い、頭にシャンプーをかけ泡立ててからシャワーを容赦なくかけて「スーッ」とした。けど子供達は平気。湯船に入って飛び出してゆく。また慌てて一人ずつバスタオルを背中に放り投げる。カラスの行水を見た事はないが、こんな物か!と思いながらお風呂から出る。
パジャマを着ながら直也くんが「寝る時にトトロの絵本を読んでね」と言う。「ウン、いいよ」と言うと、もう二階へダッシュ。
 「子供は時計を見ないのか?」
いつも十時半になっても寝ないのに、その日は九時過ぎだった。
布団に入る時「ばぁばは真ん中ね」「わかった」二人に挟まってトトロの絵本を三人で見ながら「まっくろくろすけ出ておいで…」なんて言っているうちに早々と二人は夢の国。
湯上がりホカホカと身体をくっつけているホカホカと布団のホカホカが早く二人を眠りにつけた様だった。幸せがいっぱいでした。

(イラスト : 菊池裕子)