裕子先生の家族日記

動物を飼うということ

小二のゆうちゃんが一学期の時「ゆうちゃんは今トカゲ飼っているんだよ!緑の光っているのと、黒いの!」嬉しそうに嬉々として話す。

こちらは一呼吸おいて、「エッ!」ちょっと信じられない。

「とかげはシッポが切れても、また生えてくるんだよ。」と言う。

私は返す言葉もなく『これは本気だ!』と思った。気持ち悪くて、ゆうちゃんの持っている虫かごをのぞいても見れなかった。

それから一カ月位して会った時、「トカゲは死んじゃったから土に埋めて、お墓を作ってやったんだよ。今は、かぶと!」

ゆうちゃんのママも、金魚、文鳥など土に埋めて棒を立てて手を合わせていたっけ。

息子は息子でモルモットをもらって来てカゴに入れたままにしておく。仕方なく雨のあたらない外において、エサを与えていたが、早くに亡くなったけど子供はけろりとしていた。

その事を今話したら、子供(大人になっているけど)は、覚えていた。まるで無関心だったけれど、生き物は短い期間でも心に残っているものだと思った。

ゆうちゃんは感受性の強い子です。五才の時に私の母が亡くなって、ゆうちゃんはママとパパにピッタリくっついておびえ切った顔をしていた。可哀想な位でした。母のお骨を抱いて霊柩車に乗った時、隣に座っていた妹が「ゆうちゃんの顔見て、おびえ切ってる。かわいそう。」と言った。

それからゆうちゃんは一年くらいの間私の近くに寄りつかなかったし、私たちの自宅には来なかった。娘が用があり、私たちの自宅に来た時も車を家から少し離れたところに止めさせ車の中で待っていた。お葬式にも出なくて、パパの実家に残っていた。

一周忌の時は出席して、お寺に入り、お経の本の字のひらがなをしっかりと大きな声を出して読んでくれました。でも、お寺は嫌いという。

九月、母の三回忌をする。ゆうちゃんも来てくれるので嬉しい。

今気になって娘に電話をしてみた。「ゆうちゃんのかぶとはどうした⁉」「死ぬ前に放した方がいいからって放したよ!」と言っていた。

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(イラスト : 菊池裕子)